ある兄弟がいて、兄が下の兄弟をいじめていたとします。そのいじめの主な原因は、いつもそばにいた大好きなおばあちゃんを、下の兄弟に取られてしまったことでした。
ある日、兄はおばあちゃんと大げんかをして、それからはおばあちゃんとはほとんど口を聞かなくなり、兄弟、家族にも距離を取るようになりました。
これだけの情報では、いじめた兄が「悪い」ととらえられてしまいますが、裏を返すと、下の兄弟に大好きなおばあちゃんという存在をあげたことにもなります。そうするためにけんかをしたと、とらえることもできます。
実は下の兄弟を思っての行動だったとも解釈ができるのです。素直な行動が取れなかったのだと思います。そして、おばあちゃんを取られてしまったから、その悲しさが強く出て、いじめに発展してしまったと思います。本当は自らの行動だったのに。優しさも隠れているのに。
子どもは両親がけんかをしていると、なんとか平和を保とうとして異常な行動をしてしまうこともあります。外で友だちとけんかをして騒ぎを起こしたり、物を盗んだり、病気になって家庭内を忙しくさせたりなど。普通のとらえ方でしたら「困らせている子」といわれてしまいますが、実は両親の不仲を良くするためにあえて自分自身を「悪」にしてしまいます。子どもは大人や親よりもとても賢く、周りをよくみています。そして一生懸命、自分の持っている100%の力を発揮して、全力でその不仲に対処しようとしています。問題を解決しようとしているのです。
善と悪は表裏一体。
まさに、これらの例はそういえるのではないでしょうか。
もしかしたら、しかし、もしかしたらではなく確実に、子どもの異常と思える行動には、意味があってそうなっています。それを、「症状」「病気」ととらえ、精神の異常ととらえ、発達障害や精神の障害と病名のようなものをつけ、向精神薬を飲ませているのが現代です。本当に悲しいことだと思います。子どもたちのこころを読み取れない大人ばかりになってしまいました。そして、私もそうでした。この内海式精神分析を学んで、以前よりは、子どもの本当の声のようなものがわかるようになりましたが、まだ、親としても大人としても、人間としても未熟です。
どうか、これ以上、子どもたちが薬や無駄な医療で苦しまない社会になればと思います。そうしなければ、この国は本当に、確実に、復活のない亡国となります。