私は子育てを始めた時、育児書を全く読みませんでした。今思えば、あれこれといろいろな子育て論を聞いておけばよかった。娘はもう20代半ばですがそう思うのです。
どうして聞けばよかったといえば、自分の子育ては、結局は親と同じようにしていたからです。親は母子家庭の中、本当に大変だったと思います。しかし、とてもさみしい思いもしました。そして、心理的には寄り添ってもらえていなかったと思います。必死に育ててはくれましたが、心がそばになかったのです。
そして、私も同じように娘を育ててしまいました。
人は親になった時、結局は、育てられたように育ててしまうのです。そのことだけでも知っていたら、子育ての下手な自分を知っていたら、同じようにせずに心に寄り添うよう気にかけて子育てをし、納得のいく子育てができたのかなとも思います。
子育てで悩みはそれなりにありました。でも、なにで悩んでいるのか、どうして子どもに強い愛を示せないのかなど、理由がまったくわからなかったので、とても苦しい子育てでもありました。
人の心は案外単純です。ただ気づかないふりをしていたり、隠すことで自分を守っていたりします。
もう子育てはしないと思いますが、子育て論を語る時は、小児科医の真弓定夫先生の考え方を取り入れています。子どもも大人も対等であり、子どものほうがとても賢いという考え方です。
子どもは本当に賢いです。胎児の頃から耳を傾け、生まれてからもまわりを観察し、大人以上に物事をしっかりととらえています。この世から大人たちがいなくなれば間違いなく平和になるのではないかというくらい、純粋で裏がなく賢く生きていけるのです。
大人は長く生きているだけにすぎません。子どもから学ぶことはたくさんあります。謙遜な態度で接すると、今まで見えなかったものが見えてくるでしょう。教えるのではなく、教えてもらうという心構えが、現代の大人、親には必要なのかもしれません。